こうも暑さが続くと、日中熱せられた体が夜のうちに冷めきることなく、翌朝を迎えているような気がしてならない。エアコンの風を浴びても、水を浴びても体の芯がまだ温いような感覚。空冷も水冷も効かず、蓄熱される一方のよう…、に感じられる。
夕食後、エアコンと扇風機の風に当たり、足裏マッサージ器にふくらはぎを揉ませながらテレビを観てると、意識がどこか遠い世界へととんでしまう。いつもよ くある事とは言え、ことのほか心地よく行ってしまっていたらしく、一昨日の夜、窓の外の物音で「ビクン」と、こちらの世界へ舞い戻ったときには涎を垂れて いたが、その足音で息子が旅から帰還したと察知。顔を拭い、起きなおして、
「お帰り!」
と寝ぼけながらも元気よく迎える。
そこには、黒く、いや赤く?赤黒く、そして目まで赤くなった息子が立っていた…。その表情から、舞い戻るために相当の精力を使い果たしたことが伺え、夜食をかき込むと言葉少なに部屋へ向かう息子へ、
「明日はゆっくりせえ…。」
と休みの合図。
しかし、ここからが凄い。毎早朝恒例の草刈り作業に復帰するや、ママチャリ琵琶湖一周の疲れなぞどこ吹く風よとばかり、先へ先へと調子よく進んで行くでは ないか…。こちらは、日に日に衰え、草刈りのゴールはまだか?猛暑はおさまらぬか?どうにかならんか、この暑さ、と嘆き節ばかりを唱えつつ、午前9時には 全身びしょ濡れで、ぜーぜーしてると、
「だらしないぞ!」
と息子が言い放ち、悪戯っぽくニヤついている。
「はい、すんまっしぇん。」
とボケながら笑おうとしても、口を開けるが精一杯で、その後の笑い声が追いつかない。
あー、もう情けない。俺が悪いのか?お天道さんが悪いのか?どうでも良いから、涼しさと若さを返して欲しい。息子のような、筋金入りの耐熱人間にしておくれとまでは言わないが、このままでは居られない。このまま稲刈りに突入してしまうなんて考えたくも無い…。
体にいいとか悪いとか、もうどうでも良くなったので、外から帰ればそのたびに水風呂に浸かることにした。どうでも構わん、体の芯から冷え切るまで、水冷放熱だい。