しばらく良い天気が続いたので、昨日まで、育苗のために春使うビニールハウスとその横の苗床を手入れした。そうは言っても日に、3時間程度の作業。久しぶりに屋外での仕事をこなし、少々の汗をかいたところで、おっさんに会いにいった。
「ひっさ(長い間)出会わんかったのー。」
と、おっさんは言うが、せいぜいひと月前後のご無沙汰だ。しかし、御年80になるはずのおっさんから、常々気にかけ、可愛がってもらっている私なれば、ひと月近くも顔を見せない時間を作ってはならないとは思っている。
『ひっさ』会わなかったものだから、おっさんは矢継ぎ早に、話したかったことを話し始める…。そういう時、こちらが決して退屈しないのは、その風貌に似合う、こてこての方言で積み上げる上手い語り口ならばこそ。しかし、『ひっさ』会わなかったもので、思い余って言うのか、言いたいことだけ言ってしまえ、と思うものなのか?そのひと言を、どう解釈しませう?という、瞬間が間々あるもので、
「くまさん。か・ん・た・ろ・う・は、もう、あかんでよ!」
「か・ん・た・ろ・う?」
「あかんでよ、か・ん・た・ろ・う、じゃー。」
「ん、」
「もおー、駄目じゃろ。あんなもん、じゃー。総理大臣…。いう、わけには、。」
かんたろう=管直人。
次に、
「あいつが、免許、のー(無く)なった。」
と、きたもんだ。聞けば、おっさんと同年代、町内のある人が、自動車運転免許の更新に行ったときのことを話し始めた。高齢者なので、運転講習なるものにのぞんだその方、自動車に乗り込んだ途端、教官に、こう尋ねたのだと。
「エンジンはどうかけるんじゃ?」
これで、アウト!のはずなのに、食い下がり、
「エンジンのかけ方だけ教えてもろたら、運転はできるんじゃ!」
と、言ったのだとか。
「そう言うた。けど…。帰された…。」
のだ、そうだ。切ない話しを、おっさんは、
「今更、エンジンのかけ方、覚えんとけよ、って、言うといてやったんじゃ!」
とのこと。
野良に出れば、ほのぼのしている我が地、なりってか。
今日は、雨降り。
3月2日からの京都伊勢丹でのプロモーションに向けて、精米室で仕込み作業。携行品なども準備万端。その他、雑務も滞りなくこなしたつもり。
一抹のくだりを息子と涙を流しながら語って、仕事に励み…。
さあて、明日は早朝から仕上げの精米施し、パッキング。商品車に詰め込んだら、二人でいざ上洛だい。
About 農樹
確定申告終了。今年は例年になく、早い仕上がり。それもそのはず、日頃からご厄介かけっぱなしのお方(B型♂)の、その姉ちゃんが、
「経理に長けている。」
と、前々から聞きつけていたから、あら大変…、なのは先方様。私は、しめしめ、遠慮は悪しきこと、と教育受けた九州男のガブリ寄り。
「お願い、迷惑ついでに、もう一丁。決算、お願い。」
そう言い放って、書類を預かってもらったその日から、
「いつか、お返しするつもり~♪」
と、鼻歌歌っているうち、決算書に申告書ができちゃった。
「すっげーなー。餅は餅屋だわ。俺が毎年、缶詰状態、癇癪おこしながら、カリカリ弾けてたことをさらりとやっちゃうわけだ。」
今日は、小春日和。税務署への行き帰り、またも鼻歌、鼻歌。
「どーも、すいません。遠慮知らずで、すいません。ありがとね。来年もお願い…、わっはっは。も一丁、迷惑ついででに、ずーーっと、お願いよ。」
死んだ親父が、私がガキのころ、よく言ってました。
「遠慮は失礼ばい。ありがとう、ありがとう、ってくさ…、よその家に行ったら、腹いっぱい食べてこい。」
と、ね。ここのところが、京都と福岡の違いなのかも、ね。
来週は心置きなく留守にできます。ありがとう。
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おいしさカレンダー・京都伊勢丹
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JR京都伊勢丹・地下2階
『農樹』のお米
プロモーション-第2弾
じゃじゃーん!クリックしてみて↓
3月2日(水)から8日(火)まで
お米のプロモーションに立たせていただきます
営業時間は10:00~20:00です
今回は、息子とともに、「中津隈節」を炸裂させていただきます。
皆様、ご声援よろしく。
お時間許すようでしたら、親クマ・子クマの奮闘劇、見物がてら、足を伸ばしてくださると、「嬉しかー」です。
About 農樹
京都伊勢丹でのプロモーション。最終日ともなると、朝から体のあちこちがきしんでいる。特にふくらはぎは重症で、
「あと1日だから、持ちこたえろよ。」
と、その朝ホテルをチェックアウトする前、患部へパンチの嵐。
一週間、10時の開店から夜8時の閉店まで、短時間の休憩をはさみながら10時間以上立ちっぱなしなのだから、さもあらん。
その日、その日をどうにか持ちこたえ、毎夜ホテルへと帰る道すがら、居酒屋で焼酎オンザロックを一杯飲み干すまでに、足が痺れ始める。もちろん店を出るまでには、三杯程度は飲んでいたが、通常の私の酒量からは程遠い…。
「ホテルに帰れなくなりそう、」
だから、
「もう少し飲みたい」
のに、毎日未練たらたら、打ち止め。そして、帰れば撃沈。
パンチを食らわした足でポジションについた最終日。足を止めてくださる方々との応対の合間、合間に一週間を思い起こせば、数多の良い出会いや再会を果たせたことに感謝。
また、田んぼに向かう日々を送る中で決して見えなかったことに気づいて、感謝。今回のチャンスを与えてくださった伊勢丹さんと、サポートしてくれた家族や友に感謝、感謝。そう想いをめぐらせ、この場が愛おしく思えてくるうち、閉店の時が来た。
明日からこの場に立つ方の手前、気ぜわしく片付けをしていると、
「ご苦労様でした。なかつくまさん。」
「春には、綾部に参ります。」
などなどお声がかかり、
「ありがとうございました。どうぞ来てくださいね、待ってますよ。また会う日まで…。」
と、やり取りをしていると、
「なかつくまさん、春までにもう一回いかがでしょうか?」
と、お声がかかり、早やプロモーション第二弾、3月中に決定となった。
意気揚々と土産話を抱えて帰路に着く。大雪後の夜道を、そろそろ車を走らせ、帰りつくと深夜。危うく、
「皆の者、起きて参れ!」
と、叫ぶでしまうところをぐっと堪えて、祝杯片手に、翌朝家族が目にとめやすい場所に張り紙をすべく、太いマジックで書き込みをした。
『お疲れさーん、ご苦労さーん。鍋の用意ありがとさーん。疲労困憊につき、食わずに寝るわ。吉報二つ。その一、2キロパックのお米のみならず、5キロパッ クもプロパー商品にご採用ですと!その二、春までに、プロモーション第二弾、決定!どうだ、参ったか。明日は、目を覚ますまで起こさんといて。』
翌朝から、私の処遇が一段と良くなった。