田植えを始めました

テーマ:農民/くま語録

周到な準備を重ね、本日4月25日田植え開始。
「冬は何をしてるの?」
稲作農家=冬は暇とばかり、同じ質問をかれこれ概ね20年何度受けたことか。
「ばーろー、これを見てさらせ。」

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とーしろ~さん達にわかるわけないから説明しなかっただけのこと。新米販売の予定に合わせて苗をつくる。数千枚の苗を田植え予定に寸分違わず合わせるために周到な準備をしているんだな、これが。とーしろ~さん達は牧歌的な田植えの風景を思い浮かべてくれるも良し、てーペーペー、だっけ?そんなどっちでも良いこと談義に花でも咲かせておくんなせー。

予測と準備を怠らないこと、予測できる能力を持てることが大事、それがプロフェッショナル。

世の中がややこしい。すました顔して議論や論議で飯食う奴らがこざかしい。

プロフェッショナルの楽しさ、おすそ分けしてしてあげようか、。

伝えるぞ

テーマ:農民/くま語録

田植え終了までと戦闘モードに切り替え、無休で走り続けること45日。
いかん、足にきている…疲労が両足に乗っかっている。
踏み出す一歩がいつもの一歩でなく、自分の足でないような感覚。
稲作20年生、人間50年生、老いを感じるこの春。
これから毎年、こんな現象に遭遇していくのだろう。
まあ、身体の衰えも笑いのネタにしてしまうとするか。

これからは培った知恵の数々を1年1回伝承する人生さ。

愛する、

この男に…

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俺が代表やぞ

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春真っ盛り、阿吽の呼吸で駆け回るなかつくま親子。朝6時、朝飯食いながら仕事の打ち合わせ。
先日、7時に田んぼに向かうトラックの中で、あそこと、あそこと…、今日から入る4枚の田んぼだけは深みがあるから他の田んぼとは工程を変えよう。荒起こ しは丁寧にしておこうなどと再確認。前日、トラクターに乗る前に育苗ビニールハウスの換気を頼んでいたのに忘れてしまって荒起こしを進めていたことを反省 していたはずの息子が、
「うん、うん。その4枚間違ってしまったらどうしよ?!」
とおちょけて冗談飛ばしたところへ、間髪入れずに
「頸にしてやるわっ!」
と叫ぶと、ひっくり返った裏声で、
「う、そー~」
ですと。こんな時こいつがカ・ワ・ユ・クて、抱きしめたくなる。俺の横でさらに茶目っ気たっぷり呟く息子がまたカ・ワ・ユ・イ。
「俺が代表やぞ。」
近々㈱農樹に移行する時、代表取締役社長は息子・一樹が就く。創設者である私目は平社員、そう、私目は”社長”呼ばれることなく生涯を終える脱サラ農家な わけで、それを是として誠にカッコいいと悦に入っている。そこのところが、今やアイコンタクトで日々を送る息子と俺の決め事、進む道。だからこそ腹の底か ら笑えるこの場面、お互いを演じて笑いきる。わーー、ひっー、はっーとね。
今週月曜日にあやべ市民新聞の取材を受けた記事がこれ。記事掲載の前日、新聞社から確認の電話があり、
「農樹は法人ですか?代表者はどなたになりますか?」
法人移行していることと、その節は一樹が代表者になるから今回の記事も一樹代表で、という電話のやり取りを横で聞いていた息子がニタニタして、
「俺が代表って新聞に載るんか。」

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詳しくはここをクリック

そう言っていたのに記事では”中津隈俊久代表”となっていて、息子呟く、、、
「俺が代表やぞ…」

えいっ

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あら、まあ!
’三越本店FB’
で紹介していただいてましたぁ!
もういっちょ、
’三越通販’でも
また今年も良い米作ろうっと。

ツギオさん

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4月3日、息子はトラクターで田起し、俺は3回目の温湯消毒。
種まきは4月2日までに2回・1900枚ほど済ませ、目の前の苗床にはもう約1000枚の箱が並んでる。
「順調、順調。」
ぽかぽか陽気なので水仕事も苦にならない。

種もみ消毒にかかる手仕事は10分おき、椅子に腰かけタバコをふかしてると、ツギオさんが現れた。毎年この場で消毒か種まきをしているとやってくる年寄り がツギオさんで、冷える日や雨の日、風の強い日には決して現れることはないから、そろそろ来る頃かと思っていたら案の定やってきた。大半の農家は稲苗は作 らず、田植えに都合が良い日を決めて買って植えるため、販売する側はその日に合わせて育てることになる。我が家はそれを請け負っていて、ツギオさんはうち からすれば得意先にあたるわけだ。ツギオさんの子供たちは都会へ出て行き今は一人暮らし。毎年の農作業は、大阪へ嫁いだ娘さん夫婦が帰って来てやってくれ ている。
今年も現れたツギオさんは、もともと小さな体が一段と前傾してさらに小さく見える。はあ、はあと息しながら、
「えらいわいや、あかんわ、こんなんなったらあかんわ。」
とぶつぶつ言って、俺から声をかけられるのを待っている。今年もかわらずやってきて、切り出す言葉から次のふるまいからすべて例年通り、予想通りに展開されるから、面白がってニタニタするだけに徹して黙っている罪深き俺。人の良いこの爺さんは、
「いつやったかいなあ、いつやったかいなあ。」
と、俺に語っているとも独り言を言っているとも分からぬ素振りでうろうろ、うろうろ、これも毎年のこと。
「5月のみっか、やったかいな。」「…」「よっか、やったかいな。」「…」「いつか、やったかいな。」ずっと俺はニタニタ黙っている。
「たしか、みっか、よっか、いつか?」
ツギオさんの事情は分かっている。娘夫婦が田植えのために帰って来るその日に苗が無くてはならないから、確認のためにやってきているのは分かっている。し かし、毎年判で押したような振るまいとこれからのやり取りを期待して、ここでようやく笑いをこらえて口を開くわけなのだ。
「ツギオさん。みっかでも、よっかでも、いつかでもいつでも良いわいな。」
「そうかい。」
にこっと安堵の表情を浮かべる可愛いこの爺さんとの稲作シーズンはこれで開幕する。続く話しは決まって家族と自分の身体のこと、
「もう足がよぼよぼで、ほら見とくれ。足が進まんわ。」
と歩幅が小さい。そこで、
「ツギオさん、年なんぼになっちゃったん?」
と聞けば、耳は遠くも無いのにとぼけてやがる。よし、そう出たか、
「なんぼになったん?年や年、ツギオさん何歳になったん。」
とダメ押しすれば、ふふっと笑って、
「そんな恥ずかしいこと聞かんといてくれ。」
ですと…。参ったぜ、爺さんに年をたずねてこんな返しかあるとはね。こうなったら白状さようと再度訊けば、
「はちじゅうー、、、はち、やったかいな。」
「わはは、ツギオさん、やったかいなって、うわっ、やったかいなって。」
ええい、もう一丁。
「そうかー。ツギオさん、大きゅうなっちゃったなー。」
と言ってやったぜ。どうだ爺さん!
「ははっ、年だけは大きくしてもらえるわ。でも、もうあかんわいやー。わし、もう帰るわ。あんた、体に気ぃつけてきばっとくれよ。」
と、言ってようやく帰るツギオさんの自転車のハンドルにぶら下げた杖がぶーらぶら。
「そんなんぶら下げて大丈夫かいな、ツギオさん。」

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プロフィール

くま語録

くま

京都北部・綾部市物部地区で米を育てつつ、「農樹」を育てる農民。通称:くま
中津隈俊久(なかつくま としひさ)
’64年生、福岡県北九州市出身。
自作自演プロジェクト「農民パラダイス計画」のリーダー。

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