差し入れ

テーマ:農民/くま語録

毎朝5時起床。米を研いで、炊飯器のスイッチを入れると、軽トラに乗り込むのが1日の始まり。そして2番目に入れるスイッチは、お役目授かる水利組合の、 水揚げポンプ。日によって、ここへ向かうまでに、方々の田んぼに寄り道しながらそこへ向かうこともあるが、今日は一番にそこへ。
上(かみ)、下(しも)あるポンプのうち、まずは上のポンプのスイッチをパチン。ウワーっと背伸びをして、軽トラに乗り込み、下で、パチン。今度は、「ふぁー、」と、あくびをしながら、軽トラをそろそろと…。
苗代や育苗ハウスがある、右手、道の下へ無意識に目線をやりながら、軽トラ進むこと、数秒。
「っん!」
ドッキン、そして、ハッとする。ほぼ無意識に右に向けていた目線の左側から、それも至近距離から声がする。
「おはよっ。」
と、聞こえたようで、
「っ、あっ。」
早朝5時半、左を向けば、助手席の窓から30センチのところに、おばちゃんの顔…。
「おはよっ。ははあーー。ひっひぃー。」
と、驚く私を笑いながら、差し出すその手には、魚が一本。
「昨日、息子が釣って来たで、食べてないか?」
ここで、ようやく目が覚めた…。
「…、えっ。あー、ありがとう。ツバス?いやハマチ…(35センチを境に呼び名が変わる)。これ、大きいね。」
「良かったら、食べてぇ。」
と、ニコニコしてるおばちゃんは、例のマサオさんの奥様、マチコさん。
「ありがとう。今晩いただくわー。」

相思相愛=是、豊かさ、也。
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朝飯前のひと仕事、帰ってくると炊きたてご飯を味わい、そこから先が、農民・くまがおくる一日の、セカンド・ステージ。

夕方、野良から帰れば、
「くまさん、お魚さばいてくれるー?」
と、妻。魚をさばくのはいつも私の仕事。我が家では、かみさんがさばく魚は、イワシに限定。それ以外の魚は、全て私がさばくのは、彼女がそれを苦手とするからという理由もさることながら、「さばき」たい私がここにいるからだ。
その願望、自分のことだから、分析、解析は不要。一本の魚を前にして、出刃を右手に、
「お前をいただいてやる。」
と、にんまりする、くまがここにいる。
「おい、ハマチよ。上手にさばいてやったろうが!食らってやる!」
焼酎オン・ザ・ロック片手の夜の始まり、始まり。
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プロフィール

くま語録

くま

京都北部・綾部市物部地区で米を育てつつ、「農樹」を育てる農民。通称:くま
中津隈俊久(なかつくま としひさ)
’64年生、福岡県北九州市出身。
自作自演プロジェクト「農民パラダイス計画」のリーダー。

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