つなぐ

テーマ:農民/くま語録

日本のどこの農家か忘れたが取材を受けた際、「農業とは命をつなぐ仕事だ」と即座に答えたらしい。漠然と惰性で農業やっている農家からは出てこない言葉だと思う。
我が家では種籾を芽吹かせる屋内作業と苗を植えてやる田づくり作業が同時進行中だ。
種籾は、籾殻を被っていてそれを剥けば玄米となり、玄米を削ってヌカ分を落とせば精白米。食べてしまえば食糧、籾のまま残しておけば翌年の種。今年も概ね 450キロの種籾を4,5回に分けて種まきをしてきたわけで、もうすぐ最後の種まきだ。乾いた籾種を手にしてから種を播くまで10日がひとサイクル、
消毒:我が家は農薬ではなくお湯で消毒
冷却:消毒の際の熱をとる
浸種:循環水槽の中で種籾を数日間、水に浸す
催芽:循環水槽の水を加熱して籾殻から芽(芽出しと言うけど本当は根っこ。根が先に出る。)を突き出させる
脱水:水から引き上げてすぐに種まきはできないので水を切り、乾かす
播種:種まきは機械がやるので、人間様は土や種の補給と潅水の水量チェックなどをやる
大雑把に言えばこんなところ。種まきまでに最低限必要な工程。

外の田んぼでは畔をつける、肥料を撒く、田を起こす、水を張る、荒く代掻き、本代掻き、田植えと一枚の田んぼにうまいこといって最低7回通って植えつけ終 了とあいなるわけ。屋内と屋外の作業の計画と進捗状況を工程表に記し注意をはらいながらの毎日だ。4月が過ぎると田植えを始める。5月3日が田植え初日の 予定だ。苗の生育、田作りの進捗も順調そのもの。落ち着いて滞りなく仕事が進む今日この頃。こいつの存在感は絶大、たまに暴走もするけれどセンスがいい、 飲み込みがいい、とおちゃん嬉しい。

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田圃で知らないばあさんが息子に声をかけてくれたそうだ。
「あんた、お母さん死んでしもて可哀想やけど、な、がんばんな、よ。」
って。
「がんばろうぜ!親父!絶対有名になろうぜ!」
って、息子。

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田植えスタート前に準備万端、決戦前の明日は一息ついて教会へ行こう。このたびのお土産は『京都伊勢丹-毎日食べたい50選-』だ。月命日ごとに横山一家とひと時を過ごすがため、工程をやりくりすればできるじゃないか。為せば成る何事も、為らぬはクマの成さぬなりけり。
あー、明日が楽しみ。
命をつないでいるはずの農民・クマの命もまた、皆々様につながれているようなもの。つながりあるからこそ力が漲るに違いない。

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プロフィール

くま語録

くま

京都北部・綾部市物部地区で米を育てつつ、「農樹」を育てる農民。通称:くま
中津隈俊久(なかつくま としひさ)
’64年生、福岡県北九州市出身。
自作自演プロジェクト「農民パラダイス計画」のリーダー。

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