ありがとう

テーマ:農民/くま語録

「クマさん、ありがと。気を付けて帰ってね。バイバイ。」
「うん、次は正月?いや大晦日か、んじゃまた来るよ。」
これが12月26日、教子が入院中の京都病院に俺が泊まったクリスマス翌日の夕方交わした言葉。

こんなはずじゃ無かった…よ、それからたったの6日後逝ってしまうなんてな。昨日も今日も、
「いかん、教子の病院に行かなくっちゃ」
と目が覚めた。決してメソメソしてるわけじゃない。俺だって白血病と分かってから、別れが来ることの覚悟はできていたつもり。

10月緊急入院した直後、教子のこんな話に耳をかしたくもなかったけど、きっちり、ちゃんと聞いてたわけだ。
「お葬式は必ず横山さんにお願いしてね。」
「葬儀屋さんが持ってくる死に装束なんか着せんといてね。2階のどこかに私が着たウエディングドレスがあるから、それ着せてね。」
「弔辞を読んでもらってね。恭子と富美ちゃんにお願いしてね。」
「音楽、クマさんわかってるでしょ。’You will be in my heart’流してね。」
「お香典?お花代だっけ?いただかないときましょ。」
「お骨はどうぞ適当に…。」
大した人です、教子さん。

我ら夫婦の親愛なる横山夫妻に、23年前無理矢理結婚式を挙げてくれとお願いした挙句、その23年後お葬式をお願いねって言ってのけるずうずうしさ。日 頃、横山夫妻の大阪・池田の石橋教会に遊びに行こうと互いに話していたから、俺も「ええい」とばかり迷惑ついでに生身の貴方を連れて行きましたがな。ウエ ディングドレスだって、どこにあるのやら?一樹が半泣きで探し当てたのよ。恭子さんも富美ちゃんも、名指しで弔辞のご指名、さぞ辛かったろうにお前さん は、
「お願いね。」
と言って、逝ってしまうか?

自称、プライドの女王様の名に恥じず、凛として潔い告別式。無念を言い出せばきりがない。今はただ心からの、ありがとうを横山夫妻とその子達をはじめ、バスケ部の面々や、遠くまでお別れに来ていただいた方々に、共に伝えよう。「ありがとう」ってね。

俺は悲しい。未だ膝に力が入らない。悲しくって寂しくて、そしてどうにも腹立たしくて、そこらでニタニタ歩いてるやつをぶん殴りたくなるけど、天国で教子が恥じいることはしないでおこう。
こんな俺を、一樹を、そして農樹を愛してくれた教子(あなた)に言っておくべきだった、何千万回分の「ありがとう」を伝えられるものなら伝えたい。その日 その時に言うべき「ありがとう」は、次回まとめて言うものでは無いと今更気付いてももう遅い。これから何ができるのか…。
そっちで自慢してもらえるよう、生きてみせるよ。
「ほら、あれがクマさん、そして一樹よ。農樹、すごいでしょ。私の夫、息子、農樹なんだ。」
って、ね。たっぷり枝葉を広げて自慢させてやるわい。

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「美人薄命ってもんですかねぇ?」
あの時、ぬけぬけとそんなことも言ったっけ?
調子の良いやっちゃ、あんぽんちん。もいっちょこの曲聴きやがれ。
You will be in my heart
俺たちは今週末、東京行く!平成24年産のお米の商談ったい。一緒に行くぞ。しょぼくれてなるものか。俺だって凛として生きてやる。

祈る

テーマ:農民/くま語録

妻がベッドに横たわっている。俺たちのことが分かっているのか?分かっていないのか?
今分からなくてももうすぐ分かるようになると信じてる。
俺たちみんなで農樹じゃないか。プライド高きお前さんは、誇れる夫になれ、誇れる息子になれ、強いては誇れる農樹になって欲しかった。分かっているんだ、そんなこと。素直に語れないのはお互い様。3人で育てた農樹の木陰でお茶でもしてくれよ。

二回目の抗がん剤治療の後、ことのほか楽しく過ごせたクリスマス。翌朝一樹が書いたブログ「to motger」を、
「最良のクリスマスプレゼントだ。」
と思い合えた。俺たち家族には本物の愛があるから。

挫けず、今日も祈る。

4 ハッピークリスマス

テーマ:農民/くま語録

昨夜、夫と共にクリスマスディナーを楽しみました。
先週、京都伊勢丹で下見をし、昨日は買い物客であふれるなかを行列に並んでご馳走を買い込んできてくれました。

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教子

クマ復帰

テーマ:農民/くま語録

今日は久々、クマさんこと、なかつくまとしひさが登壇させていただきます。
斯様に書き出さなくてはならないほどご無沙汰しまして、どーもすいません。
「俺はね、いつも強がってばかりいるけれどね、実はね…、小心者なんよ。」
白状します。

私のことを大胆かつ繊細などと褒めてくれる人もいたりするわけだけど、自分のことは結構良くわかっているつもり。明らかに弱い人間の部類に属している。こ れ本当。妻がはっ、はっ、けつびょう…、ですと、シューン。俺のおっかさんも今から32年前、はっ、けつびょうでございましたが、神様、何でまた俺の一番 身近な女(ひと)が、はっ、けつびょうになってしまうのかねぇ…と、ついつい悔やみ節が頭を過ぎる日々。
商売繁盛、忙しくしているからバタついている間は良いものの、さてブログを書こうとパソコンの前に座れば、ぱたっと筆が止まってしまう。そんな日が続くな か、息子が機関銃の如く投稿していたのは明らかに母へ届けとばかりに綴ったメッセージ。大した男だ、と私は思う。32年前の俺は毎晩布団かぶって泣いてた ものさ。
そして、妻がブログに登壇し始めた。ルーター機能付きのスマホとノートパソコンがあれば、個室でインターネット、DVD鑑賞、TVと楽しめると思って持っていったら、闘病記を書く…、と言い始めた。
「大したやっちゃ!こいつらに支えられて農樹がここまでたどり着いたのだ。」
と思えば、ぐずぐずするのはもうやめた。病状のこと等あれこれは妻からの投稿に委ねよう。
‘私も’「くま語録」活動を再開しよう。
「クマ」、「クマちゃん」と呼ばれ続け、妻子からも「クマさん」と呼ばれる私のブログが「くま語録」。しかしながら、今や妻と息子、私の三つ巴のブログになってしまったこと、これまた良しじゃろ。妻だって息子だって本来「クマ」じゃん、いいーじゃん。

これまで当たり前にそばにいてくれた妻の入院から70日目の今日はクリスマス・イブ。明日は、妻の個室でケーキを、と。

昨日は、順一さーん、電話ありがとう。
近所に日本酒の取り揃え充実した酒屋できたって?行かせて下さーい。貴方とへべれけれになりたいなー。
昨日は、栄美さーん、電話ありがとう。
「クマさん、あんた大抵やんちゃしてきたんだから、奥さん大事にするんだよって…。」わかってるって、大事にしてるって、さー。
今日は、ブログのコメント、『おーば』さんありがとう。
あー、とーちく!スコン、と吹っ切れたバイ。

「神様は、試練を乗り越えられる人間にこそ与えるのだよ。」
と、妻は昔も今も私に言いますが、
「勝手なこと言いやがって。」
と反発するより、こうなりゃ、盛りだくさんな人生でありがとさーんって、叫んでやろう。
誰が俺の真似をできようか。俺の真似を誰ができる?ってね。弱くても強くなれるのは皆のおかげで、貴方のおかげ。

久方の、クマでした。うりゃー!

3 クリスマス

テーマ:農民/くま語録

大学時代の友人がお見舞に手作りのヘキセンハウスを持ってきてくれました。グリム童話のヘンゼルとグレーテルにでてくるお菓子でできた魔女の家です。実際、クッキーでできていて食べられます。無機質な病室がクリスマスらしくパッと華やぎました。

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今日から3連休ですね。どこもかしこもクリスマス一色でしょう。来週は、もうお正月。自営業である我が中津隈家は、いわゆる年中行事からは一歩引いたとい うか、無関係な暮らしをしていました。しかし、さすがにクリスマスは洋風なご馳走を、お正月にはおせちもどき料理を作っていました。今年は、父と子2人き りの晩餐。息子がケーキをねだる年頃でないことがせめてもの救いです。
教子

プロフィール

くま語録

くま

京都北部・綾部市物部地区で米を育てつつ、「農樹」を育てる農民。通称:くま
中津隈俊久(なかつくま としひさ)
’64年生、福岡県北九州市出身。
自作自演プロジェクト「農民パラダイス計画」のリーダー。

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