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農業生産法人 株式会社 農樹

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農樹通信

2009年 春

堪えよう

高校卒業を控えて、滅多に学校へ行く必要も無くなった息子と、今日の昼は、親子丼を作って食べる。
「できたぁ、食うかぁ。」
「おー、食うかぁ。」
二人でがっついていると、テレビには中川昭一君が、イタリアでやっちまった画像が映っては消え、番組の出演者達が、
「薬を飲みすぎただけでこうなりますか」
「これは酒を飲んでいますよね」
など、真面目に話している。こりゃ、面白い。
番組は中川君の一日を時系列に、
「大臣の動き、ここまでは不自然ではないのですが…」
なんて、大真面目にやっている。これほどマスコミが心踊る出来事が続く政権は、滅多になかろう。麻生政権はマスコミの上得意だ。新聞、雑誌、テレビ、ラジオの各社、この不景気に経費節減できて嬉しかろうよ。永田町界隈を徘徊してさえいれば、得ダネなのだから。いやぁ、誠に面白い。踊る阿呆に、見る阿呆。はっはぁ、昼間っから、よたよたのおっさん眺め、にたつく俺も阿呆。

日本人として、恥ずかしさも、情けなさも、憤りをも、それらもろもろ親子丼と一緒にごっくんしよう。おっさんがしでかしたことを、見世物として捉えようではないか。日本では、日々を一生懸命働いて、まじめに納税の義務を果たしていれば、こんな滑稽な一幕を先生方から、見せてもらえる国家なのだ。勤勉で純情な、世界の田舎もんの日本人は、数十年もの長きにわたって、飽きもせず、お祭りのような選挙を続けてきたわけだ。そのお祭りで選ばれし先生方は、学芸会のような議会の場で、予めの質問に官僚様がご用意下すった答弁を「読む」と、読み間違える。もーっ、たまらん、面白くてたまらん。田舎もんの、田舎もんによる、田舎もんのための選挙と政治、とでも言うに相応しい。お国のことより、我が暮らし。民衆は利権を求め、政治家先生は権力を求めて、双方馴れ合いの世は続く。
息子にはこの騒ぎを説明しておこうと、話しかける。
「G7っちゅう先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議に日本を代表して出席したのが、この中川。経済危機の最中の国際会議だから、どれほど良い相談ができたか、世界の注目が集まっていたわけさ。そしたら、なんと、記者やカメラの前にぶいぶいに酔っぱらって出て来よった。こいつは。」
「…、ふーん。○○よりひどいなぁ、これは。」
「ひどいやろう。情けない、とっとと辞めさせりゃいいのにのぉ。ところで一樹、今、何よりひどいって言うた?」
「ん?くまさんよりひどいって言うた。」
「うっ、…。」
親子丼を噴き出しそうになるのを堪える私は、かろうじて息子に、
「このアホ!俺とこんなやつ比べるな!」
と、切り返すのが精いっぱいで、
「くまさん、これとそう変わらんよ。」
と、息子からくる、さらなる一撃に、そそくさと丼の残りをかきこんで、ごっくん、退散、退散。
近頃、親父面して下手なことほざけば、さらりと、そしてぐさりと切り返されるようになってきた。この時、本当は内心、
「俺がやる時はもっとすごいさ」
と、言おうかとも思ったが、自慢にもならないので、ぐっと堪えた。

徹底的にやろう

後日、ビートたけしが、何かの席で語っていたそうだ。
「中川さんは中途半端でいけねえな。G7のあれは、最初っから机の上で突っ伏しているとか、ゲロでも吐いて帰るくらいでなきゃね。」
そうだそうだ!半端もんめ。
たけしの言葉で、思い出した出来事がある。私の近所の友達が数年前、地元消防団の役員を仰せつかっていた時期があった。その日の夜、彼は、歴代の消防団長が列席する、年度初めの重要な集会を控えていた。しかし、そんな素振りを見せること無く、その日の日中、町内の仲間たちと、私の仕事を手伝ってくれた。仲間たちが集まり、加勢してくれた日の夕方は、酒を酌み交わすのが常となっており、その日も夕方から、気心知れた連中で酒をかっくらった。重労働の後の酒宴、1時間もすると、皆、相当に酔いが回ってくる。ましてや、人気者の彼には人一倍酒が注がれ、いよいよろれつが回らなくなったころ、
「こりぇかあ、ぼかぁ、しょーぼーーにひってきぁす。ごっつぉーさん。」
と、立ち上がろうとするが、正常に立ち上がれない。表情も酔っぱらい特有の緩みきったものに変り果てているから、誰もが止める。しかし、行くと言い出したらもう聞かない。彼は、つかまり立ち、あちこちにすがるように歩き、消防団の集会へと旅立った。
何度か転んで、擦り剥き傷を負いながら、その集会にたどり着いたのは、歴代団長様方の、御挨拶も終わり、大先輩方のご機嫌よろしく、乾杯の盃がかざされた、まさにその時だったそうだ。
「ドアを開けて、いやぁ、おそくなりましたぁ、もうしわけぇ、まで言ったら、おおーっ、ゲーって、俺はそこにゲロまき散らしましたがなあ。」
と、彼の後日談だ。
彼の話を嬉しげに聞くのは、先日のメンバー、手にはグラス。
「上等、上等。ほれほれぇー。」
と、また彼のグラスに、なみなみと酒が注がれる。
そうさ、半端じゃないんだ、僕たちは…。最近、彼は、我が家のホームページの立ち上げに苦心してくれている。